<朝の通勤路>
毎朝の通勤は時間との戦いだが、最近気づいて以来、この人を見掛けると、いつも通りだ、遅刻しない時間で走れているとバイクのアクセルを少し緩める。
その人は時々現れる。
割と田舎の町だが、朝の交通量は多く、皆んな慌ただしく通勤や通学をする。
見掛ける人というのは、自分とは、反対車線の歩道を歩く中学時代の先輩、しかも進行方向は自分と同じなので後ろ姿を遠めの眺めで追い抜いて行くといった感じなのだ。
<元サッカー部の先輩>
おそらく先輩も出勤途中か…
その先輩というのは私と同じ出身中学校の学年が1つ上のサッカー部のキャプテンだった人。
ひと言で言うとサッカーがめちゃくちゃ上手い人。
マラドーナ世代だった私達は、同じ様な小柄でドリブルの上手いその先輩に憧れたものだ。
重心が低くボールが足元から離れずに素早いドリブルを仕掛ける先輩の動きは速い。
ディフェンダーだった自分は練習で何度かマッチアップしたがよく翻弄された。
<付いた異名は赤い彗星のシャア>
当時、先輩の学年の部員達からついたあだ名は、赤い彗星の「シャア」。
機動戦士ガンダムに出て来る、シャア大佐の事だ。
シャア専用のザク一機で通常の3倍の動きで敵を翻弄し、敵艦5隻をあっという間に撃破したルウム戦役は、アニメ中で有名な逸話。
その動きの速さと、偶然、名前に西という漢字が付く事から相まってシャアという異名がつき、私達後輩は、シャア先輩と呼んでいた。
<まとめ>
通勤途中、シャア先輩に気付いた頃、懐かしい部活の思い出が頭の中で浮かんでいた。
「シャア先輩、お久しぶりです!」などと、機会があれば声をかけてみたいが「お前誰やったっけ?」と忘れられてそうだ。
赤い彗星のシャアに例えられたサッカー部の先輩。
お互い仕事頑張りましょう。