最近気になった記事だが…
沖縄から県外に出稼ぎに行き寮付き派遣で働く27歳男性を待っていた地獄の話。
労災隠しやコロナ切りに遭ったSさんは出稼ぎに行こうと決めた時はいろんな夢もあったはずなのにと考えると怒りを覚える内容だ。
現代の日本は、非正規雇用の拡大により所得格差が急速に広がっている。
そこには、いったん貧困のワナに陥ると抜け出すことが困難で、これを「貧困強制社会」と言う。
この男性は慣れない仕事で腰が筋肉痛になったのかなと最初はそう軽く考えていた。
しかし痛みはひどくなり、あっという間に夜眠れなくなりトイレに行くのにも苦労する。
愛知県にある大手自動車メーカー系列の工場の派遣労働者だったSさんは椎間板ヘルニアを発症。
その時の様子とは、バンパーの溶接部分をチェックする仕事で1日に500台、多いときで800台。
バンパーの下部は腰を折り曲げて左右の側面は腰をひねって確認する。
働き始めて間もない職場で覚えることも多く、寮と工場の往復だった為、仕事が原因としか思えなかった。
先に結果を言うと前例が無いという事で労災を認められなかったのだ。
痛みを訴えたSさんに対し派遣先会社の上司らは備え付けの救急箱から湿布をくれた。
そして同時に、病院には絶対に1人では行かないよう強く念押しされたという。
指示に従って上司と共に病院に行ったところ、医師からは椎間板ヘルニアと診断されたうえ、仕事が原因と疑われますと告げられる。
ところが数日後、派遣先会社からは労災は認められないと伝えられた。
理由は前例がないから。
今までこの職場で腰を痛めた人はいないと言い、上司は追い打ちをかけるように、仕事以外のところで自分の不注意で痛めたのではないかと言う。
派遣元会社の対応は、その時の担当者の口から出たのは信じがたい屁理屈だった。
正直こっちも困ってる、君のせいでうちも泥を塗られた形だと。
労災では無いという派遣先の判断に従えないなら次の仕事を紹介するのは厳しい。
その場合は寮を出ていってもらう。
でも、もしこちらに全部任せてくれるなら、ちゃんと面倒は見るからと言うのだ。
つまり派遣元会社にとって大手自動車メーカー系列の派遣先会社は大切な取引先、労災なんて起こされたら困るのだ。
派遣元会社が用意した寮で暮らしていたSさんにとって退寮は即ホームレスになることを意味した。
今後治療費は請求しないといった旨が書かれた示談書にやむを得ず署名。
これは、まさに泣き寝入りの状況。
その後、派遣元会社は別の職場を用意してくれたものの腰痛で仕事は休みがち。
結局1年たたないうちに雇い止めにされる。
派遣先会社からは労働基準監督署に労災を申請したけど認められなかったと説明を受けた事が今となっては本当かどうか分からないらしく、労災は自分でも申請できる事や個人でも入れるユニオンがある事を当時は知識が無かったのだ。
実家は農業で生計を立てていたが貧しく、Sさんは小学生の頃から新聞配達をして家計を支え、中学卒業後は建設現場などで働いた。
なのに両親はSさんの知らないところで、彼の名義で消費者金融やクレジットカードで借金。
金額は600万円を超えていた。
20歳を過ぎた頃、借金をめぐり父親と刃傷沙汰寸前の争いになり、父親は親が子どもを使って何が悪いか!と開き直ったという。
これが切っ掛けで家族と縁を切り故郷を出ようと決めた。
だから、身ひとつで知らない土地で働くには寮付き派遣しかなかった。
当時のSさんは夢や期待のほうが大きかった。
学歴も職歴もない自分に飛行機代も出してくれて住まいも用意、入社祝い金やクオカードも貰える寮付き派遣は、良い事づくしだと思ったのだ。
しかしその実態は…
実際の派遣労働は期待外れの連続で、沖縄を出る前は時給1600円と聞いていたのに現地に着くと、今その仕事の空きはない、時給1250円の仕事ならあると説明される。
どちらの時給の仕事も業務内容は同じだという。
今更、沖縄に戻るわけにもいかず、納得出来ないまま時給1250円で働いた。
その後、何度か派遣先は変わったが事前の約束より時給が下がる事はあっても上がることはなかった。
派遣元会社が用意する寮の家賃はこの会社が借りた民間アパートの為、割高だった。
築40年以上の木造アパートで毎月約8万円の寮費を引かれた事もある。
高すぎると感じ、不動産会社に直接問い合わせると実際には家賃5万円ほどの物件だと分かる。
派遣元会社が相場より高い寮費を取るのは、寮付き派遣あるある、だとSさんは言う。
残業の有無にもよるが、収入は手取りで月18万円程、昇給もボーナスもない。
揚げ句の果て、労災隠しという仕打ちを受ける。
彼は愛知の派遣会社を雇い止めにされ、その後は
別の寮付き派遣などの仕事を探して神奈川や群馬、埼玉を転々とする。
そして昨年4月、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で雇い止めに。
住む場所もなく、所持金も尽き、関東近郊のある自治体で生活保護を申請したところ、悪質な無料低額宿泊所(無低)に強制的に入居させられる。
無低では劣悪な住環境にもかかわらず、入居費、食費として約8万円をピンハネされ、Sさんの手元に残るのは毎月たった1万円だった。
しかも無低から最寄り駅までは歩いて1時間。
就職活動のため駅まで歩き、電車でさらに1時間以上かかる都心の面接会場に行き、汗だくになって帰宅すると、施設内で決められた入浴時間に間に合わない時も多々あった。
そして風呂の時間に少しでも遅れると、罰として食事を抜かれたという。
生活保護の担当ケースワーカーが無低まで面談に来る事も一度もなく、代わりに電話で何回も心ない言葉を浴びせられた。
「若いのに生保に頼らなきゃいけないなんておかしいよ」「もっと働けるでしょう」「身内に頼れないのはおかしい」など。
この様な生活は、Sさんが貧困問題などに関わる市民団体に助けを求めるまで4カ月間続く。
Sさんは昨年夏、市民団体の助けを借りてアパートに転居、自己破産の手続きをして、今年1月には、腰の手術も受けた。
労働者派遣は歪な関係が蔓延る。
若者を低賃金で使い倒し、使えなくなったらゴミのように捨てる会社を放置し、最後のセーフティーネットであるはずの生活保護では、悪質無低の食い物にさせる。
この国の雇用政策と福祉行政は狂っている。
労働者派遣は、派遣労働者と派遣元会社、派遣先会社は三角関係にある。
1990年代以降、経済界の要望に押される形で労働者派遣の規制緩和が進んだが、それは3者の関係が対等であることが前提。
しかし、3者は対等どころか、派遣先会社>派遣元会社>派遣労働者という歪な関係が蔓延る。
立場の弱い労働者が中間搾取の対象だ。
禁止されている事前面接や日雇い派遣、偽装請負も横行している。
3者の適切な関係を維持できないなら、労働者派遣など即刻やめて、従来の直接雇用に戻すべきだ。
Sさんの腰の手術費用は生活保護の医療扶助で賄われたが、これは本来、派遣元会社が加入する労災保険から支払われるべきだ。
生活保護のケースワーカーは、福祉に頼るなという主旨の事を言っているし、不当に福祉に頼っているのは、むしろ結託して労災隠しに走った派遣元と派遣先会社だ。
そもそもコロナ感染拡大の中で多くの非正規労働者が解雇や雇い止めに遭った。
この派遣を緩和し貧困強制社会を築き上げたのが小泉政権、そこに加担したのが竹中平蔵である。
正規雇用を望む若者を非正規雇用になるように仕向け派遣会社がボロ儲けできる仕組みを作った。
そうなると若者は使い捨てとなり貧困が原因で結婚できず少子化となっているのが現在。
日本人の貧困は全体の8割とまで言われている。
これのどこが先進国なのか?と思う。
こんな社会にしたのは明らかに◯民党だ。
消費税も上がりますます貧困は進む。
こんな政党を国民の大半は推進した。
票を入れた有権者も若者の貧困に加担した、言わば
国民が国民を潰したと言える。
社会常識、社会通念を調べないからだとか、勉強しないから悪いなどと言うが、環境に恵まれなければ学ぶ機会も得られないだろう。
それは勉学だけでなく社会常識においても。
このSさんは、それに加えて毒親のせいで金銭面のハンデまで背負っても、非行に走らず、まっとうに生きようとした善良ですごい人だ。
そんな人を食い物にする連中こそが悪だ。
大悪党だ‼︎