<心身不調について>
誰にでもある経験、何事にもやる気が湧かない、眠れない、眠りすぎてしまう、気分が落ち込むなど。
身体的には、腹痛、頭痛、吐き気など原因不明の身体症状が続くなど。
他に、同僚からの相談を受けた経験など、 仕事や家庭、プライベートなど色々なストレスが起因となる心身の不調は誰にでも起こる症状。
2003年に実施された厚生労働省の調査によると、うつ病や双極性障害などの気分障害の生涯有病率は9.0%で、約11人に1人の割合だ。
20年以上たった現在では、更に身近なものに…
診断名のつかない不調もたくさんあり、メンタルヘルスの不調は、何となく人に相談しづらく、我慢しがちな事が大きな課題だという。
<ERGの活動>
電通では、自社グループ内のメンタルヘルスの不調経験者やサポーター、大学などで心理学を学ぶ社員が自発的に集まり、2021年に有志の「電通メンタルヘルスラボ」がスタートしている。
最近では、社内でもERG(従業員リソースグループ、社員による自発的なコミュニティ活動)のひとつに位置づけられ、活動の幅も広がっているそうだ。
メンタルヘルスを取り巻く状況は、2013年、厚生労働省により、うつ病などの精神疾患は、がん、脳卒中、心筋梗塞などの心血管疾患、糖尿病と並ぶ「広範かつ継続的な医療の提供が必要と認められる疾病」として5大疾患に加えられ、直近では、コロナ禍で起こった生活や働き方の変化による心理的影響が大きい。
<コロナに影響は避けられない>
2020年に行われた米国のソフトウエア会社オラクルとリサーチ会社ワークプレイスインテリジェンスの共同調査では、日本を含む11カ国の労働者の78%がコロナはメンタルヘルスにマイナスの影響があると回答しており、ストレスの増加やワークライフバランスの乱れ、孤立感、睡眠不足、家族関係の緊張などがその要因として報告されている。
他にも2022年に厚生労働省が行った労働安全衛生調査(実態調査)によると、メンタルヘルスの不調により連続1カ月以上の休業または退職をした労働者がいる事業所の割合は、300〜499人の事業所で65.3%、1000人以上の事業所では90.8%にまで上り、メンタルヘルスの不調により連続1カ月以上休業した労働者は常用労働者全体の0.6%おり、2023年の日本の雇用者が6076万人とすると、36万人を超えると考えられている。
<企業活動とメンタルヘルスの関係性>
近年は、社員の心身の健康を維持増進し、その力を最大限発揮できる環境づくりに取り組む企業も増え、企業経営において、サステナビリティを重視する動きが活発化、制約を抱えている方にとっても、持続的に働ける環境を整備できれば、多様な働き方の実現に繋がり、それが結果として、企業の価値を高め、さらに労働者から選ばれる企業となる良好なサイクルが生まれるのではないかと言われている。
厚生労働省は、心の健康づくりには4つのケアを効果的に推進し、職場環境などの改善、メンタルヘルス不調への対応、休業者の職場復帰のための支援などが円滑に行われる必要があるとしている。
<一例>
事業場内産業保健スタッフなどによるケアでは、新入社員研修や管理監督者研修などの開催、職場復帰における支援、長時間労働者に対する面接指導の実施、産業医に直接相談ができる健康相談窓口などが該当。
他にも、社員が毎日ログインする社内ポータルのトップ画面一番上には相談窓口のアイコンが設置され、ケース別の社内外の相談先がまとめられている。
その一例は…
「快活な1日をスタートするための朝ごはんの提供」
「睡眠やフィットネス管理のためのスマートデバイス貸与」
「チームのコミュニケーション促進のための社内カフェ利用券配布」
「産業医と2年目社員による、「休憩」をテーマにした新人研修」
「保健師による運動や食生活についてのグループ活動&アドバイス」
「部署や立場の垣根を超えて雑談ができるコミュニティスペースの増設」
「トップアスリートから学ぶ効率的な休息をテーマにしたイベント」
「睡眠をテーマにしたイベント」や「メンタルヘルスカフェ」
<心理的安全性>
専門家による従来の精神保健制度の貢献はこれまでも、これからも、大きいことは確か。
ただ、従来の制度だけでなく、近年では、非専門家メンバーによる情報共有を軸にした個別施策に取り組む流れも起きている。
近年よく耳にする「心理的安全性」は、職場における個々のメンバーが自分の意見を自由に表現できる、又はリスクを取ることが許容されていると感じる環境作りだという。
メンタルヘルスの不調は原因も、症状も、対処法も、人それぞれ。
メンタルヘルスカフェでは、総論や解決策は話さず、1人の個人的なストーリーや感情に耳を傾け、追体験し、答えのないテーマを考える時間。
発言は強要されない為、考え込んだり、話そうかためらって、発話が途切れたりすることがあっても無理にしゃべらず自分と向き合う時間として、沈黙も大事にしているそうだ。
<まとめ>
メンタルヘルスについて率直に話せる場をつくり、当事者の方の声に耳を傾け、それらを丁寧に発信することで、メンタルヘルスについてみんなで考える社会を作る事が可能ではないだろうか。
今はまだ、だれにも打ち明けづらいメンタルヘルスの不調について、だれもが自分ゴトとして捉えられる世の中になるように、推しの話や今日のランチは何を食べようくらい気軽に、気楽に、メンタルヘルスの話題を持ち出せる時代が来ると良い。
ストレス社会と言われる昨今、メンタルヘルスケアに取り組む企業も増えている。