<治療法なし救命率ほぼゼロ>
人体蝕む謎の寄生虫「芽殖孤虫」の話。
恐ろしくも驚きに満ちたモンスターに挑む宮崎大学の学生と研究者は芽殖孤虫の行動を観察している。
これに、いつの間にか人体は侵入し、分岐増殖を繰り返してヒトの体を喰いつくし皮膚から湧き出して宿主を死に至らしめる。
ホラー映画ばりの恐ろしい寄生虫が自然界に存在するというのだ。
宮崎大学の菊地泰生准教授(ゲノム生物学)を中心とするグループが全ゲノムを解読した「芽殖孤虫」(がしょくこちゅう)という寄生虫。
治療法なし!救命率ほぼゼロ!全世界の報告数は疑い例も含めわずか18例。
その中で日本国内は6例という数字を出している。恐怖と謎に包まれた芽殖孤虫。
<感染経路は不明>
幼虫は卵を産まず、皮膚をはじめとする臓器で無分別に分裂して増殖。
感染経路は不明で知られているのは幼虫のみ。
成虫はこれまでにどんな動物から見つかっていない。
日本では1987年以降、患者は確認されていないものの現在も効果的な治療薬はない。
外科的に取り除く以外、対処方法はないそうだ。
症例数が少なすぎるので研究は殆ど進んでいなかったが1981年のベネズエラの症例から分離された芽殖孤虫は、40年間生きたマウスに感染させ続けることで国内で保存されてきたのだとか。
<形態>
芽殖孤虫は基本、細長い形状で活発に分岐を繰り返しているものは、「メデューサの頭」のような形態に見えるそうだ。
大きさも不定ながら小さいもので数ミリ、大きいもので10センチくらいのものが継代しているマウスからとれるそうだ。
<人間以外の感染例はあるのか>
ヒト以外だとイヌからの芽殖孤虫のような虫体の分離報告があるものの確定かどうかは定かではない。又、実験的に感染させるとイヌ、マウス、ウサギなどで感染が確認され、幼虫として体内で維持されるという報告が過去にある。
<モンスター相手の研究から見えるもの>
恐ろしくも謎多き芽殖孤虫を探るということは
ドラマの「X-ファイル」や東野圭吾さんの「ガリレオシリーズ」のようなミステリーを解明していく心境なのだそうだ。
寄生虫には、寄生をしない生物にはない特徴的な進化がみられ、例えば、深海にすむ生物たちが想像を上回るような姿をしていたり、特殊な能力を持っていたりする様に、寄生虫は特殊な環境に適応する為に特殊な進化をしている。
これを身近なモンスターと言っている。