<本日の暦>
「小暑」大暑来たれる前なればなり。
「少しずつ暑さが増して行く頃、梅雨明けが待ち遠しい時期」
<活発化する梅雨前線>
今日は七夕の日、生憎、線状降水帯によって激しい雨が同じ場所で降り続く。
仕事をするにはかなり厳しいコンディションだった。
暦が如く早く梅雨が明けて欲しい。
さて、埼玉県で「絶滅危惧種」のタガメが見つかったという話をしようと思う。
<自然繁殖?>
自然繁殖なのか別の理由か。
見沼田んぼという所で発見された約65ミリのタガメ。
さいたま市郊外には生き物たちの豊かなすみかが、確かに広がっていた。
<肉食生の水生昆虫>
Wさんという女性が、ある朝、田植えの準備のため薄く張られた水面に浮いた藁クズをよけると、それはいた。
この田んぼに12年かかわってきて初めてだという。
タガメは体長48~65ミリでカメムシ目コオイムシ科に属する。
水生昆虫の中では最大の肉食性を持つとも言われており、なんと自分より大きなカエルやカメなどを捕まえて食べるのだ。
「埼玉県レッドデータブック動物編2018」というのが埼玉県で発行されているのだが、絶滅危惧種に指定されているタガメは見沼田んぼでは絶滅したとされている。
国も昨年、種の保存法にもとづき「国内希少野生動植物種」に指定。
販売や販売目的の捕獲などを禁じる「特定第2種」となっている。
今回見つかった一角では、Wさんが所属するNPO法人などが無農薬のコメ作りを15年余り行っており、害虫はカエルやサギが食べてくれるのだという。
<田んぼは生物の宝庫>
私も生物の生態観察をしに田んぼによく行く。
ミジンコ、カブトエビ、ゲンゴロウ、ザリガニ、各種カエルとそのオタマジャクシ、スクミリンゴガイ、アメンボ、ヒルまでも観察対象にしている。
生きた化石とも言われるカブトエビは甲殻類の中で最も原始的な種類で、祖先は2億年以上前の三葉虫と言われ、2億年前から同じ姿をしている。
田んぼでその様な生物が見れる事はとても貴重だと私は思う。
田んぼはお米を作るためだけの所じゃない。
生き物を育む場でもある。
タガメの発見は、ここの生物多様性が証明されたという事かもしれないとWさんはコメントしており、とても素晴らしい。
<専門家の見解>
レッドデータブックなどの執筆を行うNPO法人埼玉県絶滅危惧動物種調査団の代表の見解では、確かにタガメと判断、しかし自然繁殖の個体とは考えにくいという。
これは、1960年代以降、見沼田んぼ周辺を含む大宮台地ではタガメの記録は皆無。
長期間見つかっていない以上、自然分布しているのだとすれば極めて不自然だとし、ペットとして飼われていたものが逃げたり逃がされたりした可能性もあると指摘している。
自然に繁殖したとは考えにくい場所で発見されたとの報告は、これまでにも度々寄せられているという。
<まとめ>
タガメの保全には、すみかになる水田や池沼の確保と水質保全に加え、強い光の街灯を減らして死ぬ危険性のある街に寄せつけないようにするなど様々な要素が必要だろう。
私が子供の頃は、タガメやこれに似たタイコウチなども普通に水辺で見れたのが久しく懐かしい。
Wさんが見つけたタガメはいったん水槽に保管されたが、翌日、自ら水槽を飛び出して田んぼに帰っていったらしい。
自然に帰るのが一番だ。