<よくある口コミ投稿が>
転職サイトに「口コミ」投稿したら、その会社が怒って法廷闘争するケースもある。
では、どこまで書き込んでいいのか。
転職口コミサイトで良くある、社員や元社員からリアルな評判が書かれた場合、転職を考える際に見る人も多い反面、その転職サイトへの書き込みを巡って、法的トラブルに発展するケースが増えている。
<ハラスメントを投稿したら>
ある女性は、ハラスメントで離職した会社について口コミを投稿した、すると総務部から同期を通じ、ありもしないことを書いているので削除を要求される。
女性は「正直怖い、ありもしないことを書いてはいませんが、パワハラを受けたという文言はいれています」とコメント。
別の男性は、パワハラのため退職したという会社について、つい感情的になり、評判を下げるような内容の口コミを書いた。
虚偽は無いのに、3日後に会社から、男性が書いたかどうか問い合わせる電話が入る。
男性は今後、会社との間で訴訟に発展しないか心配になったという。
真実であっても、企業にとってマイナスの情報は、名誉毀損となるとでもいうのだろうか。
<ブラック発信者が反論するケースも>
転職サイトを巡り「ブラック」と書き込まれた会社側が発信者情報開示請求を行うも、ブラックの事実について発信者が証明し、開示請求が棄却される事例があるという。
こういったケースは多いのか…
統計データがあるわけではないので、明らかでは無いが、会社側の請求が棄却されるケースが多い。
裁判所の考え方の変化もあり、かつては、否定的な事実であれば開示が認められるケースも多かったが最近は、事実に具体性がないから名誉権は侵害されていない、と判断されるケースもが増えている。
逆に具体性が非常にある為、少なくとも真実ではないと言い切れず、かつ社会の正当な関心の対象であるとして開示請求を棄却するケースも増えている。
開示請求があった場合に投稿者に届く「意見照会」の時点で、適切に反論をする発信者も増えており、裁判所も多くの場合、それをしっかりと検討している、ということも、大きな要因だという。
<どこまで書き込んでいいのか>
転職口コミサイトの魅力は、リアルな声が書き込まれているからこそ、利用者が増える。
実際のところ法的にはどこまで書いて良いのか。
実はかなり微妙らしく、例えば、交通事故であれば、交通ルールがあり、どちらが悪いのか、どれくらい悪いのか、前例が積み上がっている。
しかし、ネットの投稿では、一定の判断基準が無い。
ネットを巡る法的問題の歴史が浅いが、文章である以上、中傷の内容、組み合わせは無限にある為、信号無視やスピード違反の様な類型化が全く出来ないという難しさがある。
書き込む際に気をつけるべきポイントとして、法的にOKかどうかのラインを考える。
事実を投稿する場合は、真実であり、かつ、そうであるとの証明が出来ること、転職情報として有用有益であるものであることが必要。
評価を記載する場合は、真実に基づくべきであり、かつ、人身攻撃に及ぶなど不相当、不穏当でないようにする必要がある。
<主観で書いても良いのか>
会社や社員の雰囲気などの口コミは、主観で書かれることが多い。
ワンマン社長など証明しにくい「ブラック」の事実については、全て悪口で名誉毀損とみなされるのか…
かつては違法であるとの評価を受けるケースが多かったが、最近は、表現の過激さの程度などを慎重に審査して、悪口であっても開示が認められないケースが増えつつある。
ただ、ここは判断が揺れ動く事が多く、投稿者側の反論次第、先例になるような裁判例を指摘出来るか、究極的には、裁判所の判断次第というところもある。
<書き込みを巡る法的トラブルの対処法>
書き込んだ側はどのように対処したら良いのか。
会社側などから開示請求があった場合、通常、投稿者には「発信者情報開示請求に係る意見照会書」という文書やメールがプロバイダなどから届き、任意で開示に応じるかどうか、拒否するのであれば、その理由が照会される。
ここで提出した書面は、通常は開示請求訴訟で利用されることになり、開示を拒めば、この時点で適切に対応し、必要十分な反論をし、不利益にならない様に対応を誤らないことが重要。
<まとめ>
逆に思うが、自分に不利になるようなことを言わないことも大事なのではないか。
特にネット上にあるネットに関する法律情報は、古かったり、あるいは楽観的だったり感情的で間違っていることも多いので注意が必要だと思う。