<カスハラとは>
カスハラの深刻な実態と従業員の怒りの声とは。
交運労協がカスハラの実態と対策を話し合う政策研究集会というのをを開いたらしい。
カスハラ、つまりカスタマーハラスメントとは、客が悪質なクレームを店側に突き付ける事を言い、今最も深刻化しているという。
暴力行為、土下座の強要、無断撮影しSNSに投稿、度が過ぎた行為に、現場は苦悩を募らせ、体調不良や離職にもつながりかねないカスハラ被害にあっているという。
<様々な懸念>
鉄道や航空、輸送などの現場で働く人が集い、カスハラの実態と対策について話し合った結果は、産業の基盤である人材が毀損、労働へのリスペクトの精神欠如などが挙げられた。
参加者からは、カスハラ被害の実態とともに、怒りの声が上がったらしい。
あるトラック運送事業者は、荷物を投函されてポストが壊れたとクレームを受け、その人は営業所内に入り込み、長時間居座り、怒号を浴びせ続けと。
会社側に破損の責任があるか不明だったが、ポストを修理することで解決したらしい。
なんと補償の対象外となるプレー代や食事代まで請求されたという。
トラック運輸の運輸労連はカスハラの主な種類として、上記の長時間拘束、金品の要求に加え、暴言、威嚇、脅迫、同じ内容を繰り返す、SNSでの誹謗中傷などといったパターンを挙げている。
そして、特に懸念の声が挙がったのが、「SNSでの誹謗中傷」だという。
客室乗務員として働いていたある女性は、機内でクレーム対応にあたる際に、名札を撮影され、サービス中の乗務員の様子を「悪意なく撮影された」というケースがあった。
撮影は、乗務員にとって大きなストレスに。
女性は、機内でもWi-Fiが使える環境にあり、クレームを受けたときに、利用者側が怒りのままに一斉に共有することができてしまう状況が脅威に感じたと話した。
<6割近くが実感>
カスハラが増えたと実感したのは約6割で、交運労協が2021年、組合員約2万1000人から回答を得たアンケート調査では、直近2年以内に利用者の迷惑行為に遭った組合員の割合が46.6%に達したらしい。業種別では、タクシーが58.0%と最も高く、バス54.4%、鉄道52.4%、航空41.8%と続く。
利用者の属性にも傾向があり、86.4%が男性、年代は40~60代で7割を占める。
コロナ禍でも社会機能の維持に不可欠な業種は、カスハラをより実感している傾向にある。
<古くから存在するカスハラ>
ただ、カスハラは近年に始まったものではなく、古くから存在するという。
ある方が運輸会社に勤務していた約30年前、路肩でトラックの荷下ろしをする作業が、うるさいとクレームを受け、菓子折りを持って謝罪に行くと、同僚が配送先でクレームを突き付けられ、長時間の正座を強いられ軟禁状態に近い経験。
日常茶飯事ともいえる悪質クレームに、しょうがないという感覚になっていたという。
<法制化が必要なぎりぎりの状態にきている>
22015年、カスハラ防止対策が本格的に議論されるようになり、製造業やサービス業の労働組合を傘下にもつ産業別組合、UAゼンセンが、悪質クレーム対策の研究を始める。
悪質クレームの定義や対応ガイドラインを作成し、実態を社会に周知するため署名活動も実施。
2018年、174万筆を厚生労働大臣に提出し、悪質クレーム対策の法整備を要請した。
現在、ハラスメントは、セクハラ、パワハラ、マタハラの3つしか法規制がない。
カスハラについては直接の法律はないが、厚労省が今年2月、店側が取り組むべき対策を記したマニュアルを策定した。
<まとめ>
カスハラに企業はどう対応すべきか。
カスハラに遭ったら、従業員が一人で悩まず、会社で対応することが重要。
UAゼンセンがまとめたドラッグストアのガイドライン事例を挙げると
(1)回答を求められても迷ったら回答しない。(2)複数名で対応しメモや録音、映像を残す。(3)相手の言い分を聞く→事実関係の確認→相手 への報告とう流れを踏むよう記載する。
一方で、4割近くが勤め先でカスハラ対策は、特にされていないと回答、カスハラに対応する企業の体制が十分ではない状況がうかがえる。
ハラスメントは一般的に、立場の上にある人から下の人へ向けられる。
男性から女性へ、正規社員から非正規社員へ…
カスハラも立場が上の客から下の店員へと向けられており、ハラスメントの発生構図は同じだと厚労省ハラスメント防止対策室長は指摘している。
【本日の動画】https://youtu.be/hgaoxDzZBeQ
木を登る公園の猫