<定年後も働きたい人>
定年しても働きたい人が増えている。
定年になった後もすぐに引退するのではなく、なるべく長く仕事を続けたいという人が増えてきている昨今、実際に60から64歳で働いている人は82%だという。
更に、65歳から69歳でも51%の人が働いているというから、半数の人は70歳近くまで働いていることになる。
すでにこれは、ワークロンガーの時代。
その背景に平均寿命の伸長が挙げられる。
当然、何歳まで働くかはその人の自由であり、60歳で仕事を辞めてしまったり、あるいはもっと早くリタイアするという選択肢もある。
ただ、長く働きたいと思っても、殆どの企業における雇用期間は65歳までというところが多いのも現状で、もし65歳を過ぎても働きたいのなら、少し準備を考えておく必要がある様だ。
つまり、再雇用で働いても、65歳を超えて働き続けるというのは現実には難しいからだ。
<会社人間から 仕事人間へ>
およそ、50代のサラリーマンはそれなりの地位や立場が確立されているが、会社の中でのそれらにこだわるのではなく、気持ちを切り替えて会社を退職した後に向けた準備をすべきなのかも知れない。
ただ、仕事を適当にやって、手を抜くという意味ではなく、象徴的な言葉で言うと、「会社人間」を卒業して「仕事人間」になるという事だ。
仮に70歳まで、又は、70歳を過ぎても働こうと考えたとしても会社に残って再雇用で働く場合、その多くは65歳までが限界となる。
つまり、それ以降も働こうとするなら、転職するか、自分でフリーランスとして仕事をすることになる。
今の仕事を頑張ることは、意外かも知れないが
実は退職後の為に、とても重要な事実だろう。
多くの人は、仕事を頑張るのは、今の会社で昇格することを念頭に置いており、50代になって役職定年を迎えたり、昇格の見込みがなければ、頑張っても仕方ないと思ってしまう。
ところが、ここで発想を変えるべきなのだ。
出世するためではなく、自分の専門性を磨く為に今の仕事を頑張ることが重要で、何故なら、これは定年後にシニアが転職する際に極めて重要になるからだ。
<求められるのは 高い専門性>
シニアの転職で最も重視されるのは専門性。
技術や営業、庶務業務など、どんな種類の仕事でも高い専門性を持っていることがとても重要。
昨今、スタートアップ企業も増え、そういう企業は、自分達の本業については優れたノウハウや技術、サービスを持っていたとしても、経理や営業や法務といった部分はまだそれほど強くないし、人材もいない。
長年企業で働き、1つの業務に専門性を持っている人は、そうした企業で必要とされる可能性が高い。
<役職定年は戦力外通告ではない >
役職定年は、むしろ専門性に磨きをかける大きなチャンスだと捉える。
社内で出世することよりも自分の専門性に磨きをかけてきた職人かたぎの人達は、中小企業が求めるのは総合的な視点を持った経営者ではなく、特定の分野に特化した技術や知識を持っている人だ、戦力外通告ではない。
多くのサラリーマンはスペシャリストではなくゼネラリストとして働いてきた。
自分で、この仕事のプロだ、と言い切れる人はなかなかいない。
でも、50代に入り、役職定年になるということは、実は大きなチャンスなのである。
なぜなら、そこからでも自分の仕事の専門性に磨きをかける事が出来るからだ。
そもそも管理職というのは自分自身の仕事よりも部下への指示や相談事への対応、トラブルの解決、そして人事上の問題といった組織運営上の仕事が中心である。
必然的に専門性とは、ほど遠い状態で仕事をこなさざるを得ない。
ところが、役職を外れて一兵卒になれば、会社で仕事に取り組む時間は全て自分の仕事に充てることができ、部下や上司の面倒を見る必要はなくなるのだ。
だからこそ、自分の専門性を磨けるチャンスが来たと考えるべきだろう。
<副業が 定年後の本業になり得ることも>
最近では、兼業、副業を認める会社も増えつつあり、副業のメリットは、収入が多様化することであるのは言うまでもない。
特にコロナ禍で廃業したり、事業を縮小したりする会社が増えてくると、会社員としての身分だって必ずしも安定しているとは言い切れない。
夫婦であれば共働きを考えると同時に、勤務先が認めているのであれば50代に入ったら副業を始めるというのも一つの対策と言って良い。
焦らず、少しずつ副業を展開していきながら、定年後はそれを本業にすることを目指すということも出来る。
50代からの副業は、まず何よりも定年後を見据えた展開を考えておくべきだろう。
<まとめ>
一般的に、サラリーマンの場合は50代になってきてある程度先が見えてくると、急にモチベーションが上がらなくなる人が多くなる。
しかし、50代だからこそ仕事を頑張るべきで、それも会社の中での栄光を求めて頑張るのではなく、自分の専門性に磨きをかけてみるのも、新しい世界がそこから見えてくるのではないかと思う。