<急に怒りっぽくなったら>
うつ病などの精神疾患でもないのに急に怒りっぽくなった人がいるとする。
そんな人には、ある病気が潜むことがあるという。
急に怒りっぽくなったら…
人が変わったように急に怒りっぽくなった…
そんな指摘を受けたことを受けた人もいるかと思う。
たまたま忙しかったり、強いプレッシャーがかかっている状況であれば、短期的なストレスが原因かもしれないが、そんな心当たりはなく、精神疾患もない。
はたまた脳の萎縮で感情を制御する機能が失われ、元々の怒りっぽい性格が現れ先鋭化するほどの年でもないとする。
それでも短期間で性格ががらりと変わり、それが長く続くようなら、病気を疑った方がいいという。
<専門医によると>
先ず、怒りっぽくなる代表的な病気が高次脳機能障害。脳梗塞や脳出血、くも膜下出血といった脳血管障害や頭を強く打って起こる脳外傷、心肺停止による低酸素脳症など、脳を損傷することで発症。
怒りやすくなるのは感情障害に加えて、同じ話や質問をする記憶障害、ミスを連発する注意欠陥障害などの症状もある。
この病気の特徴として厄介なのは、患者本人も病気の自覚がなく、周囲も見ただけではそれに気付かない。その為、患者本人と周囲の間で軋轢が生まれトラブルに発展することが多いという。
多くは、交通事故といったひどい脳のダメージがなければ高次脳機能障害は発症しないと思い込んでしまうが、これは間違いだそうだ。
人によっては軽い脳梗塞やちょっと頭を打った程度でも発症する場合もあ、中高年は注意すべき病気だ。
<他にもある怒りっぽい病気>
怒りっぽくなる病気は、他に低血糖や甲状腺の病気などがあるが、肥満体形の中高年は肝臓の病気も気をつけた方が良い。
お酒やウイルス、脂肪肝などが原因で起きた肝臓の炎症を放置すると肝臓の細胞の破壊と再生が繰り返され、かさぶたのような硬い肝臓になり、肝硬変へと移行してしまう。
肝硬変になると肝機能が低下し、肝臓を迂回する血液の流れ(シャント)が出来たりし、様々な合併症が現れる。
シャントができて肝臓を迂回すると解毒が不十分になって血液中のアンモニアが増加。
それが脳に届くことで肝性脳症となるそうだ。
肝性脳症の様々な症状のひとつに「怒りっぽくなる」ことが挙げられる。
前頭側頭型認知症のひとつである「ピック病」も怒りっぽくなる病気だ。
この病気は、40~60代の比較的若い世代が発症する初老期認知症の代表的疾患。
主な症状は、笑い、突然泣き、など、情緒が病的に不安定になる情緒障害や、温和だった人が突然怒りっぽくなるなどの人格障害、相手の話を聞かず一方的にしゃべるといった自制力低下などがある。
<感染症が原因になることも>
更年期障害も怒りっぽくなる病気のひとつ。
更年期障害とは40代以降の男女の性ホルモン分泌量低下が原因となる自律神経失調症に似た症候群のことをいう。
女性の更年期障害は一般的に閉経時期の前後5年に現れるが、男性の場合、ハッキリした身体的変化を伴わない為、診断が難しく、本人も気付かないうちに発症しているケースも少なくないという。
女性の場合→のぼせや顔の火照り、動悸や息切れ、異常な発汗などの身体的な症状の他に興奮亢進、イライラや不安感といった精神的症状。
男性の場合→身体的症状は全身の疲労感や倦怠感、精神的症状は気分の落ち込み、イライラなど。
ただ、急な怒りが更年期障害であることに気付かないケースも多い。
<トキソプラズマ感染症>
ペットから感染する人獣共通感染症のなかにも怒りっぽくなる病気があり、これをトキソプラズマ感染症という。
この病気はトキソプラズマ原虫と呼ばれる寄生虫が寄生して感染する病気で、ネコとの接触や加熱不十分な肉の摂取などで感染。
人体に侵入したトキソプラズマ原虫は腸内の好中球に潜伏して脳に到達すると脳内の神経伝達物質の分泌量が変化して怒りっぽくなることが解っている。
<まとめ>
要は、ストレスなどないのに、急に怒りっぽくなったと感じたら病院で診察してもらった方がいいかもしれない。
うつ病などの精神疾患でもないのに…急に怒りっぽくなった人に潜む病気が判明したら大変だ。
短期間で性格が変わってしまうのだから。
ストレスのかからない状況を考えたら、セルフケアも大切になってくる。