<その人材戦略>
人材の確保に悩む企業が急増する中、7年間、正社員の離職率ゼロを実現する会社があるそうだ。
離職率ゼロを実現する企業の人材戦略とは、どんな戦略なのか。
7年間もの間、正社員の離職率ゼロを実現しているのは、広島市中区にある大成農材という会社。
創業37年、社員数35人。
有機肥料などを製造、販売している。
<社員達の様々な肯定的意見>
社員さんの声は、意見を発信し易い、急な早退に柔軟に対応して貰える、社長の改革スピードが早い、などといった、自分が思ったことを言って会社がより良くなっていくイメージなので、意見を発信し易いという声が聞かれる。
子どもは国の宝だと言ってくれて、それも社長を始めとして他の同僚のみなさんも快く休ませてくれたり、社長の改革で社内の雰囲気は急速に変化。
社内の環境がここまで変わるとは思わなかったので感謝しかないという意見もあり、社員の意見を聞いてくれる環境が整っている会社といったところ。
子どもの体調不良とか保育園からの呼び出しにもさっと帰ることが許され、皆、協力的で助かっているという声や、本当に社員のことを思ってくれていると感じている様だ。
<社長の行った改革がカギを握る>
大成農材の杉浦朗社長は、2016年に社長に就任以来、正社員の離職率ゼロが続いている。
社長の行った改革とは、当時はまだ昭和の会社という感じで、変化のない変化すること自体がちょっと嫌だという意識がすごく強い社内だったが、色々な事を変化させていったのが最初の取り組みだったそうだ。
ペーパーレス化などのシステムを導入して作業を効率化する一方、会社の体質改善に乗り出す。
今振り返ると結構反発は強かったらしく、変わる必要があるのか?そもそも変わる意味があるのかという言葉も聞かれた様だ。
それでも社長は改革を続け、社員の妊娠や出産を機に子どもを育てながら働きやすい環境作りにも取り組む。
<更なる改革>
社長の改革は実を結び、優秀な人材の流失を防いで仕事の効率化なども行い、その結果、会社は増収増益を続ける。
そして社長は、新たな改革を打ち出す。
オフィス内の事務部門のフロアを全面改装し、社員は自分が好きなデスクで仕事が出来るという仕組みにした。
杉浦朗社長云く、以前だと決まった席なので一定の人と話をしなかったりとか、社内の情報共有が上手くいっていなかったりしたのが、今は情報共有というのは色々な意見が出たりとかコミュニケーションが活発になったと感じているそうだ。
社長がどうしても欲しかったのはアメリカのアップル社に導入された「マルニ木工」の椅子だという。
座っている時間が長いと腰にきたりするのを緩和する為に導入。
椅子の単価は高いが20年使うと思うと安い。
そして又更に改革を行う。
それは、忘年会や新年会の代わりに家族で食事に行くという制度を作り、結構な好評を得たという。
日頃社員を支えてくれている家族だったり同居している方への感謝を込めて、その食事代を会社が出すという仕組みは画期的で好評を得たそうだ。
社長の方針は、コロナ禍で会社の行事は中止して始めた制度で費用の上限はあえて設定せず、社員が考えて決めるというもの。
妻と息子の3人で普段プライベートでは行けないような高級な焼き肉に行ったある社員の家族は、ここまでしてくれる会社なんだ、というふうに正直に驚かれたと語っていたそうだ。
<まとめ>
社長は、基本的には転職みたいな動きは日本はもっと活発になった方がいいのではないかとは考えているという意外な意見も持っている。
そして、その中で一緒に仕事ができる人はなるべく長く仕事ができた方がお互いの理解も深まるし仕事の熟度も上がっていくので、一緒に働いてくれる人はなるべく一緒に働いていきたいと考えているそうだ。
ただ会社が嫌で辞めるとか働きにくいから辞めるというのはなるべく無くしていきたいと思っていて、そういう意味では離職率が今、結果としてゼロというのはうれしい数字に思っているという。